現状維持から脱出するにはどうすればいいのか?
どうも、苫米地式コーチング認定マスターコーチ補の齋藤です。
今日は創造的回避、クリエイティブアヴォイダンスという現象について説明したいと思います。
人間にはホメオスタシスという恒常性を維持する仕組みが備わっています。
暑ければ汗をかいて体を冷まそうとするのは、このホメオスタシスによる働きです。
このホメオスタシスは体温のような物理的な体の状態だけでなく、心理的な状態や自分の環境にも働きます。
コンフォートゾーンを無意識は維持しようとする
ホメオスタシスは住み慣れた状態、コンフォートゾーンを維持するように働きます。
例えば、綺麗好きな人は部屋が少しでも汚れるとコンフォートゾーンが乱されて居心地が悪くなるので、部屋をすぐに片付けようとします。
逆に、散らばった部屋に住み慣れた人は整理整頓されている状態を無意識に居心地悪く感じます。
キレイな部屋に対する居心地の悪さを解消しようとして、無意識がクリエイティブに働いてすぐに部屋を散らかしてしまいます。
例えば、本を読んだ後に本棚に戻さずに「後でまとめて片付けた方が効率が良い」「まだ、そんなに散らばってないから大丈夫」「めんどくさい」という片付けない理由をクリエイティブに生み出して部屋を散らかった状態に戻していきます。
悪いコンフォートゾーンが存在する
このコンフォートゾーンは人によって様々です。
部屋の片付けの例で分かるように、どれだけ本人の意識が「キレイな部屋」を望んでいたとしても無意識に設定されているコンフォトゾーンが移行しない限りは部屋はいつまでたってもキレイになりません。
部屋の状態だけでなく、人間関係や仕事に対する成果、学力、収入、精神状態、健康など全ての状態にこのコンフォトゾーンとホメオスタシスの理論は当てはまります。
ホメオスタシスは生命が自分の状態や環境を維持して、生命を保とうとする働きです。
現状を維持しようという無意識の働きは非常に強力で、意識は進歩や成長を望んでも無意識は新しい環境に適応することを拒むことがあります。
一度コンフォトゾーンが不健康な状態に設定されてしまうと、意識ではそこから抜け出してくても無意識は現状維持を選ぶので不健康な状態から本人の力だけで抜け出すのは難しくなることがあります。
例えばダイエットしてもすぐにリバウンドするのはホメオスタシスの働きです。
また、心理療法の世界では「患者さんがあと一歩で回復する」という地点まで来ると急に通院するのをやめたり、診療に遅刻してきたり、あるいはトラブルに巻き込まれて来なくなるということがあるそうです。
悪い状態にコンフォートゾーンが設定されていると、このように意識では努力しても無意識は治りたがらないということが起きます。
創造的回避の具体例
このように意識では変化を望んでも、無意識が変化を拒むことを創造的回避(クリエイティブアヴォイダンス)と呼びます。
創造的回避にはいろいろなパターンがあります。
例えば仕事で注意力が散漫になる、過剰に人間関係を気にする、過去の失敗にフォーカスしてしまう、といったことは創造的回避によるものです。
仕事を「サボることばかり考える」「仮病で休む」「仕事をやめたいといい続ける」「上司や部下の愚痴ばかりいい続ける」ことも創造的回避の典型例です。
また、やりたくない仕事を避けるために体調不良になったり、軽い鬱状態のようになることなどもあります。
創造的回避を避けるためには
創造的回避を避けるにはどうすれば良いでしょうか?
まず、自分が創造的回避に陥ってないかを冷静に考える必要があります。
無意識はコンフォートゾーンの外側に出ることを嫌います。
コンフォートゾーンの外側に出た時に、長期的にはゴール達成に関係するのに短期的な情動に振り回されて、現状を維持を選んでしまうことも良くあるケースです。
私がコーチングセッションを行っていて、クライアントから「齋藤先生は冷たい」と言われることがあります。
コーチはクライアントのゴール達成をサポートする存在ですが、ゴールを達成するということは逆に言えば現状の外側に飛び出すこと。
つまり、今あるコンフォートゾーンの外側に飛び出すことです。
私のコーチングを受ける方は現状に悩みや不満がある方もいますが、私はそれに共感することはありません。
クライアントのゴール達成に重要性はありますが、現状や過去に対する重要性はありません。
おそらくはそれと創造的回避が相まって「冷たい」と思われるのでしょう。
また人によっては6回あるコーチングのうち、1〜2回目のセッション終了時はまだ無意識が現状に捕らわれているので創造的回避としてネガティブな情動が生まれることがあります。
新しい情報や未知なる環境に触れた時に、ネガティブな情動が生まれた場合はまずそれを冷静にチェックする癖をつけましょう。
それが創造的回避だと分かれば、アファメーションやビジュアライズといったテクニックを使って新しい環境を自分のコンフォートゾーンとして設定しなおせば問題は解決します。
自分が望むゴールがあって、単純にコンフォトゾーンを新しく設定することに慣れていないケースでは、素直にコーチングメソッドを実践すれば問題は解決します。
そもそもやりたくない場合がほとんど
新しいコンフォトゾーンに移行するのが慣れてない状態ならば、先ほどのように話は簡単ですがゴールがない場合は創造的回避への対処は難しくなります。
長期的に創造的回避が続いているというのは、そのゴールが自分の望むものではないということです。
例えば、頭では仕事を真剣にやらねばならないと思っていても、自分が本当にその仕事をすることに納得していないのであれば創造的回避は必ず生まれてしまいます。
そもそも仕事を「やらねばならない」というhave toな気持ちで取り組むこと自体に問題があります。
この場合は、「本当に自分がやりたいことを見つける」というゴール設定から取り組む必要があります。
では、本当に自分がやりたいゴールはどのようにすれば見つかるのでしょうか?
共感とやりたいは違う
私はコーチング以外にも変性意識をコントロールや、共感覚を後天的に身につけるといった内部表現書き換えのセミナーを開催しています。
一般の方に向けたIQアップ法や瞑想法のようなものを教えるセミナー以外にも、プロとして開業するためのスクールも開催しています。
スクールを受講する方はもちろん、プロになるために受講しているわけですがスクールを修了してから長期的にプロとして活動する方はそこまで多くはありません。
「内部表現書き換えを学ぶこと」に興味があるけれども「開業」は実はゴールではなかったということです。
内部表現書き換えのスクールを受講するくらいですから、もちろんテクニック自体には皆さん興味があるわけです。
当然、講師である私にもある程度の共感はあるわけですが、「プロとして活躍すること」に興味や関心、共感はあっても実は「自分がやりたいこと」とは違うということです。
かといってこれが悪いというわけではありません。
むしろ、仮のゴールを設定してスクールを受講したことでプロとしての技術と知識を手に入れたことになります。
これまでの自分では体験することがなかったであろう知識やテクニックを身につけてスコトーマを外したのですから、これは素晴らしいことです。
このようにして様々な新しいことにチャレンジしていくうちに知識や体験が増えて抽象度が高まり、「自分が本当にやりたいこと」が見えてくるのです。
やりたいことは日々変わってもいい
そもそも、苫米地式コーチングではゴールを達成することよりも、ゴールを設定することで新しい情報や体験を重ねて抽象度が高まることを重要視しています。
仕事にしろ、人間関係にしろ状況が変われば自分のゴールも変化していきます。
ですから、ゴールはいつでも変更していいし、達成すらも重要ではありません。
ただし、ゴールは変えてもゴールの高さは落とさないようにすることは重要です。
自分が興味があること、それを高いレベルで設定してスコトーマを外していく。
やりたいことをやること、それが真実のゴールを見つける唯一の方法です。
創造的回避は味方
さて、今回は創造的回避を悪者のように扱ってきましたが、この創造的回避は味方につければこれほど頼もしい存在はありません。
設定したゴールを達成する自分を詳細にイメージして、アファメーションやビジュアライゼーションで自分の無意識に書き込んでいけば、そちらがコンフォートゾーンに移行します。
そうすれば現状をクリエイティブに回避して、未来を創造していくことが可能になります。
これは運動すれば汗をかいたり、ご飯を食べれば消化が始まるように無意識の働きです。
意識的に頑張るのではなく、すべて無意識が行ってくれます。
そもそも人間はゴールを達成する天才であり、同時にゴール以外のことは徹底的に避ける生き物です。
やりたいことをやりましょう、というと「私にはできません、そんな能力は私にはないんです」という方がいますが、それはやりたいことをやったことがないからそのように思えるだけです。
あるいは「やりたくないことをやる」というのが悪いコンフォートゾーンとして定着しているのかもしれません。
そうだとすれば「私にはできない」という発言自体が創造的回避の可能性もあります。
もちろん、現状の外側のゴールを目指すかは最終的には自分で決めることですが、人間には誰にでも素晴らしい能力が眠っています。
少なくとも、「やりたいことだけやって生きる」ことを実現する能力は誰でにもあります。
そうだとすれば、反射のような創造的回避に振り回されて人生を棒に振ってしまうのはもったいないのではないでしょうか?
一度きりの人生ですから、ぜひ自分の創造性を解き放ってみてください。
TRUE COACHING編集長
苫米地式コーチング認定マスターコーチ補 齋藤順
経営者、マイクロビジネスオーナーへのコーチングを多数行う。また、スポーツ選手やトレーナーへ勝利を導くためのスポーツコーチング理論もレクチャーしている。コーチングを必要とするためにコーチとクライアントの交流の場であるコーチングフォーラム2018を開催して成功させる。正しいコーチングの知識を必要な人へ届けるために情報発信メディア「TRUE COACHING」を企画し編集長を務める。
ブログ コーチングが習慣になる!苫米地式コーチングマスターコーチ補:齋藤順
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